かれこれ社長業は33年目となり、現在は20社以上を束ねる立場にある私ですが、昔は特に勉強やスポーツができるわけでもなく、目立たないごく普通の子どもでした。ただ、伝記を読むのが大好きで、自分もいつか、本の中の偉人たちのように世の役に立つ人になりたいという思いを抱いていました。今の時代にそうした役割を果たすのは経営者だろうと感じ、小学校3年生の作文で「社長になりたい」と書いたのを覚えています。
その思いをずっと持ち続け、大学時代は経営のトレーニングを意識して様々な活動に取り組みました。卒業後は大きな組織が発展していくメカニズムを知りたいと思い、リクルートグループへ。その後、25歳で人材コンサルティング会社を興しました。始めた会社は軌道に乗り、順調に成長を続けました。念願の上場も果たしましたが、その頃に大きな転機が訪れました。当社の前身である大阪有線放送社を経営していた父が病に倒れ、私が後継者に指名されたのです。起業の際に大反対され、勘当同然の身であったため大変驚き、また非常に悩みました。しかし、「この家に生まれた使命」と思い、引き受ける決意をしたのです。
大阪有線放送社はすでに社員1万人規模の大企業でしたが、実はコンプライアンス上の大きな問題を抱えていました。まず「正常化」と称し、長年放置されてきた問題の解決に挑みました。社員には大きな苦労をかけ、「所詮ポーズでしかないならやめてくれ」と直訴されたこともありましたが、自分の思いを地道に語り続けました。本気で会社を変えたいこと、今の苦労は必ず報われること、その先にある夢…。約1年をかけて「正常化」は無事完了。それを全国の社員に報告した時には感無量で、涙が溢れました。
その後は高速インターネット回線の整備、サブスクリプション型動画配信サービス「U-NEXT」と、業界の先駆けとなるサービスを次々に手掛け、成長させてきました。私には「未来が見える」という自負があります。人間の「より良くなりたい」という根源的な欲求を見定め、それを信じて突き進めば、必ず未来に必要とされる存在になれるのです。
そして、未来は待ってくれません。やりたいことがあるなら、一刻でも早くやりましょう。もしあなたが起業したいなら、「いつしようかな」ではなく、今すぐやればいい。どんな夢でも目標でも、それがまだ朧げなものであったとしても、まずは行動する。早ければ早いほど成功確率が高まります。「Time is Money」を肝に銘じ、どんどん行動を起こして、未来を作っていってほしいですね。