歴史あるものに惹かれ、京都にある大学の法学部に進んだ私が就職先にコンピュータ会社を選んだのは、人との縁がきっかけでした。もともと父親の部下だった方が会社の社長を務めていたことで紹介をいただき、知識も興味も全くなかったコンピュータとの繋がりが始まったのです。それからは必死でオペレーションやプログラミングなどを習得していきました。

当時、一番印象的だったのは青森県庁に大規模なコンピュータを導入したことでしょうか。SEとして工場に出向き、時代の先端を走るコンピューターに直に触れ、その進化を感じられたことは私自身の大きな糧になっています。その後、ある顧客先がオフィスコンピュータを導入するにあたり、その管理を行う電算室の責任者としてスカウトを受け転職。他社のシステムやソフト開発を請け負うことも増えたため、1982年に分社化しています。これが当社の起源となりました。

そこから早40年。「なんとか続けてこられた」という思いが率直な感想です。起業に至る経緯も自らが決意したというより、人との出会いや流れに推していただいた感覚が強く、「自分で続けてきた」という思いは全くありません。環境がチャンスをくれたように思えてならないのです。

そして誰よりも周囲の声に耳を傾け、聞こえた声を大切にしながら、それを形にするにはどうしたらいいのかを考え事業と向き合い続けてきました。当社の主事業のひとつ、看護業務支援システム「ナース物語」も、顧客先にいた看護師の声から生まれたものです。ドクターではなく、実際に使う看護師の方々の意見を取り入れた開発をしたことが、これまで多くのご支持をいただけた要因だったのだと実感しています。

今では900以上の施設に導入いただいている「ナース物語」ですが、リリースしたのはちょうどWindowsが登場したタイミング。各メーカーに合わせた言語でソフト開発する必要があったものが、Windowsの登場でそれを免れ、結果的に多くの医院に使っていただけるソフトウェアとなりました。そうした時流をうまく見極めていくことも、事業を続けていく上では非常に大切なことなのだと思っています。

例えば今は昔と違い、若い起業家を応援する雰囲気や制度もたくさんあるでしょう。至る所にチャンスは転がっているのですから、あとは自ら手を伸ばし掴むだけ。それが夢に向かう大きな足掛かりとなるかもしれません。挑戦をしなければ何も始まらないのです。そして若い頃から、人との出会いや縁をとにかく大切にしてください。育ってきた環境を振り返ってみれば、本当に自分がやりたいことも見つかるはずです。