私の若い頃は仕事の内容はともかく、「とにかく自分で何かをしたい」という漠然とした想いだけがありました。今の若い方々を指して目標がない、などと言う人もいるようですが、私の時代もまったく同じだったと言えるでしょう。若い頃から目標が定まっている人はほんの一握りだったと思います。

そんな私から言えることは、とりあえず行動してみることです。悩んでいる間に行動してしまえば、何らかの波紋が生まれますし、そこから何かが生まれるかもしれません。成功した人たちは口を揃えて「思い悩むよりもまず行動」と言います。もちろん失敗することもあるかもしれませんが、失敗とは若者の特権なのです。これは今も昔も変わらないことなのではないでしょうか。

しかし、昔と今で変わったこともあります。私の時代は何かを得るために一所懸命になったのですが、今の若い方々のマインドは、何かを失わないためのモチベーションの方が高いように感じます。例えば所得の話でもそうですが、それらを上げるために頑張るのではなく、下げないために頑張る若者も多い。私はこのマインドの変化を少し悲しく思っています。

ともすれば今の日本は、「がんばらなくてもいい空気」に覆われているのかもしれません。だからこそ私は私なりに、若い方たちからそうしたネガティブな考えを少しずつ払拭していきたいと思っています。がんばること、努力することとは、すなわち時間だと私は考えてきました。誰しもに与えられた１日２４時間をどう配分するのか、働く時間然り、調べ物をする時間、学ぶ時間、限られた時間の使い道が「がんばること」につながっていくのではないでしょうか。

弊社は派遣スタッフを４００名～５００名ほど抱えています。企業としてはできるだけ長く働いてほしいと考えていますが、やはり辞めていく方もいることは確かです。そして私自身も転職を繰り返してきたので、新天地を求める人の気持ちはよく理解しているつもりです。今後はそうした人たちと対話を重ねながら、引き留めるのではなく、逆にこちらから寄り添い、ステップアップしていけるような環境づくりを進めていきたいと考えています。

派遣業界は成長よりも現状維持といった考えに偏りがちだと感じているので、そういった業界全体の空気も変え、弊社自体を成長の場にしていければと思っているのです。

社会に出れば、さまざまな決断の瞬間が必ず訪れるでしょう。就職もそうですし、転職もひとつの決断です。その際に「決めるのは自分」だという意識をしっかりと持ってください。そして初心、謙虚、感謝の心を忘れずに生きてほしいと思います。この意識と心があれば、人に左右されない、自分で選んだ豊かな人生を歩むことができるはずです。