中学生のときに観た1994年のワールドカップに衝撃を受けて、優勝国のブラジルに留学し、プロのサッカー選手になろうと決意しました。そして中学2年生のときにセレクションを受け、中学卒業と同時に現地のサッカーチームに入団したのです。ですが2年目で網膜剥離を患い、手術を6回受けたものの、右目が見えるようになることはありませんでした。ボールをリフティングすることも、前に歩くこともままならず、退団せざるを得なかったのです。
当時は絶望して心の病になり、何とか生きているような日々を2年程過ごしていました。それでも、そろそろ動き出さないといけないと感じていたある日、家業を営んでいた父から「うちで働かないか?」と打診されたのです。そのときの父の顔を見たらもう断れず、今度はとことん家業の道で頑張ろうと決意を固めました。

当社は、初の国産アルミホイールの製造を完成させたエンケイ株式会社の創始者である鈴木建次が、1970年に工場への仕入れ・販売を目的として商社機能会社として設立した会社です。自動車用アルミホイールを中心に、工場向けエネルギー燃料や資材品、工業薬品、金属材料等を取り扱っており、販売する商材の数は現在1000種を超えました。静岡県中西部地方に向けてオーダーいただいたものは、店舗の在庫があればその日のうちに出荷できるという小回りの良さも強みの一つとなっています。
私は当社に19歳で入社し、営業のエキスパートである上司の下で無我夢中になって仕事を続けてきました。その過程では様々な苦境を乗り越え、多くの経験を積んでいます。その中でも私には、日本と比べて過酷な環境下にあるブラジルに渡り、スポーツの世界で戦ってきたという自負がありました。どんな困難であっても、当時から培ってきた勇気が私自身を支えてくれたように思うのです。
2007年、当時まだ取り扱う会社が少なかったLEDの販売に力を入れるようになりました。消費電力を従来の1/3程度まで抑えられ、耐久性にも優れたLEDの有用性をお客様にお伝えし、病院や工場、自衛隊施設等に広めていきたいと考えたからです。そして今では当社の主力商品の一つに成長しました。
今の若い人たちはSNS媒体で色々なことが学べますし、とても賢い方が多いと感じています。そんな皆さんには、いつの時代も絶対に変わらない三原則あるということをぜひ覚えておいてほしいのです。つまり、同じことは永遠に続かない、形あるものはいずれなくなる、そして人間はいつか死ぬ、ということ。これら諸行無常の原則を心に常に留めながら生きていくと、悔いのない人生が歩め、良い未来が待っていると私は信じてきました。私も頑張り続けます。一緒に頑張っていきましょう。