もともと私は家業を継ぐつもりがなく、大学卒業後は大手ゼネコンに入社してがむしゃらに働いてきました。一方で、昔からの友人や知り合いとの付き合いのために、終業後何時であろうと会食に参加していました。そんな友人や先輩たちの中には経営者が何人かおり、彼らの話や考え方に感銘を受けたのが人生の転機となりました。
彼らの考え方というのを一例に挙げると、「移動するのに高速料金を1000円支払い10分早く到着するなら、10分で1000円以上のお金を稼ぐことでプラスになる」という思考です。時間を生み出すことが大事だということのみならず、「高速道路は一般道と比べて事故のリスクが少ないから高速に乗るべきだ」というリスク管理も重要視していました。
私は当時、そうした考え方をしたことがなく、直感的に面白いなと感じたのです。そして、30歳の時に家業を継ぐことにしました。当時の家業は従業員が15人程度の店舗でした 。親も会社にもどったばかりの私に自由に仕事をやらせてくれましたし、自分で商売をするには非常に良い環境でした。

業界で「一番になること」を目指した時、今ある事業すべてを続けながらでは難しいと思いました。まずセグメントを絞りどの事業(商品)なら一番になれるか?」を考えた時に、営業戦略、ブランディング次第で、他社と差別化しやすい「卒業式の袴レンタル事業」に目を付けたのです。そして、大学や専門学校との提携や若者をターゲットにした戦略を打ち出すなどして事業を拡大させ、現在では関西シェアナンバーワンになりました。
仕事をするに当たって、「楽しく」と「やり切る」という2点が大事だと思っています。睡眠、食事、入浴など生活にかかせないものを除けば、1日の3分の2は働いていることになるでしょう。それほど長い時間を費やすものが楽しくなければ、人生つまらないものになると思うからです。自分の趣味や、遊ぶ時は楽しいですよね。仕事もその感覚でなければならないと思っています。
また、仕事は”絶対最後までやり切る“ものです。そうでなければ、全てにおいて妥協してしまいます。妥協を積み上げて、できた産物に成功なんてあるはずがないのです。だからこそ「やり切る」ことが非常に大切だと思います。
若い方々にも、「前向きで楽しく生きること」を大切にしてほしいと願っています。例えうまくいかなくても、失敗ととらえるのではなくゴールにたどり着くまでの途中経過であり経験と考えるのです。そのためには前向きであることが重要なのではないでしょうか。また当社は業界ナンバーワンを目指していますが、皆さんもどんな小さなセグメントであっても、一番ということにこだわりを持ってほしい。一番になることを目指した考え方や取り組みを実践してもらえたら、必ず道は拓けていくと思います。