人間は変わり続ける生き物です。そして変わることで、自らも成長していく生き物とも言えるでしょう。だからこそ変化を続けることは、人生でとても大切なことなのだと考えています。当然ながら企業も同様に、世の中の変化やお客様の考え方の変化を上回るようなアイデアを出し、変化し続けていかなければいけません。それが質の高いサービスの提供にもつながっていくと思うからです。
この数年で生命保険事業をめぐる環境も大きく変わりました。「何かあった時のための保険」という従来の型に加え、「健康であるための保険」への関心が非常に高まっている現状もあるでしょう。ただ長く生きるのではなく、健康に長く生きることが大切だという価値観が定着したのだと実感しています。

また脱炭素など、気候変動問題への積極的なアプローチも日本生命に求められる命題となりつつあります。私たち生命保険会社は保険を販売するだけでなく、お客様からお預かりした保険料を運用する機関投資家としての側面や役割を担ってきました。機関投資家として、投資先の企業に対し脱炭素を働きかけるという社会的な期待も感じています。こうした状況の変化に対して、充分に応えられる変化を私たちも見せていかなければならないと認識しているところです。
一方で、変わらないものもあります。それは日本生命にとって従業員こそが事業そのものであるということです。物理的な商品を持たない私たちにとって、人こそが会社であり、人がすべてなのです。この数年間は他者との接触を厳しく制限される特異な期間でした。お客様とのコミュニケーションの一部はデジタルへ移行し、これまでの営業スタイルとは大きく様変わりしてきました。
しかし、社員同士のコミュニケーションはオンラインでは賄えない部分があることも事実です。話し合うこと、建設的な議論から適切なアイデアを導き出し実行に移すこと、それら濃度の高いコミュニケーションにおいてはフェーストゥフェースに勝るものはないのではないでしょうか。
そして最後に、私から若い皆さんへ伝えたいことがあります。今の若い方々は非常に能力が高く、基礎能力もあり、適応力も極めて高い世代だと感じています。しかし、適応しすぎないでください。目の前でおかしなことが行われていたら、それはおかしいと流されずに言ってください。その公正な心こそが、社会の活力を生み出します。そしてもう一つ、自分のフィールド外の領域に積極的に進出していってください。私は「領空侵犯」と呼んでいますが、フィールド外には自分の視野を広げ思考を深めてくれる成長の糧が転がっています。そうして訪れる変化を楽しみながら、成長し続けてください。