私は、物心ついた頃から事業のことばかり考えていました。「こういう会社に入りたい」「こういう仕事がしたい」ではなく、「一つの物をどうすれば増やせるか」「どうすれば欲しい物を手に入れられるか」ということを常に考えてきたのです。それは経営者である父親の教育方針が大きく影響しました。説得が失敗しても、また時期とタイミングを計り交渉内容を改善しリトライすれば、叶うこともでき、結果を変えられることも学びました。また、学生時代に友人に頼まれてアルバイトをした際も、「数百円の時給を稼ぐ暇があれば、何かの目的に向かって努力をしなさい」と父から怒られたほどです。事業家としてのマインドは、そうした経験から鍛えられてきました。

その一方で、バレリーナとしても活動を続けてきました。事業家の夢を持ちながらバレリーナとして成長する夢も追い掛けてきたのです。そんなある日、「こんな舞台に立ってみたい」というようなバレリーナとしての考えではなく、「今日の観客は満員だろうか」「客入りがどれくらいだったら、誰がどのくらい儲かるのだろう」というような事業家目線での考えにとらわれていることに気が付きました。「私が目指したいのは、バレエではなく事業の方なのだ」と思い知ったのです。そして21歳できっぱりバレエを引退。第２の人生を歩むことになりました。

とはいえ、すぐに起業できるわけもなく、社会勉強として議員の秘書を務めたのち、父が経営する会社に勤めるようになりました。当初は営業に配属され、わずか数カ月でナンバーワンの営業成績をおさめています。その経験が確固たる自信にも繋がり、「父にできることは私にもできる」と確信。独立する決意を固め、数日後には自力で起業しました。バレリーナ時代に海外で体験したコロンハイドロセラピーを日本で広めていく事業をスタートさせたのです。

クリニックを立ち上げ施術を始めると、たちまち話題を集め、別のクリニックに機器を卸し始めるようになっていきました。そして徐々に卸業へとシフトしていきます。その後、ヒト由来の腸内細菌を摂取できるサプリの開発や再生医療の分野に取り組むようになりました。

経営において大事にしているのは、「決めたら即実行。決めたらブレない」ということです。何事もスピード感が重要ですし、一度決めたら邁進する他ありません。失敗することもあるかもしれませんが、それを失敗で終わらせず成功の糧とすることで、失敗を失敗で終わらせないということが大事なのではないでしょうか。

だからこそ、これから社会を担う若い皆さんも、何事にも失敗を恐れずチャレンジしてほしいと思います。失敗した後に「どうするか」を考えればいいのです。失敗しないことには何も始まりませんし、経験も学習もないのですから。