2022年4月に社長兼CEOになり約1年半が経ちました。それまでは三角形の頂点に会長が位置づけられ、上意下達にやってきた組織体系です。しかし、就任当時の私には実績がなく人を引っ張るカリスマ性もありません。そのためトップダウンではなく、三角形の重心から熱を最速・最短で発することによって、私の考えを会社全体に浸透させていこうと思ったのです。
その一つのツールとしてslackというビジネスチャットを使い、インタラクティブ会議をすることを推奨しました。このツールを使うことで本社と現場がそれぞれ何を考えているのかを可視化することができるようになり、疑問があれば私も答えるという形で、本社と各現場の温度差がなくなったような気がします。
日本人は小型化と高機能化に優れた民族だと思っています。限られたスペースや条件の中で高性能化させることが得意な民族です。おそらく”もったいない精神“からきているのではないでしょうか。そうした特性はホテルの分野においても必要なもので、限られた空間を使って高機能で高品質、環境対応に即した商品作りが求められているのは言うまでもありません。

例えば当社では、一人でも多くの方に気持ち良く利用していただくため、部屋の電気などを一カ所にまとめた”枕元集中コントローラー“をはじめ、映画などを楽しめる”アパルームシアター“や訪日客が自国の情報を得るためのBBCを無料で提供するサービスなど、日本だけではなく世界中の方に喜んでもらえるサービスを充実させてきました。また、東京オリンピック2020で注目を集めた万国共通のピクトグラムを客室と各共用部に貼り、あらゆる国の方が安心して泊まれるよう工夫しています。現在は少しずつですがコロナ禍による規制も緩くなり、訪日外国人旅行者が増えてきました。食事がおいしく時間に正確、世界自然文化遺産があって公共交通機関のインフラも整っている日本は、今後も世界でも大人気の観光大国として成長を続けていくでしょう。だからこそ、日本人が心地よいだけではなく、世界中の方に愛されるようなホテル作りが大切なのだと思っています。
私が尊敬する一人であるチャールズ・ダーウィンの「最も強いものが生き残るのではなく、最も賢い者が生き延びるのでもない。唯一生き残るのは、変化できる者である」という言葉をご存知でしょうか。次々と変容していく社会でどうやったら生き延びることができるのか、これは生物学だけではなくビジネスにも当てはまることです。結局、変化に対応できない企業は淘汰されてしまうのです。
私も50代になりましたが、常に柔軟でありたいと日頃から思っています。若い方々も固定観念を持たず、生き残るために常に変化を受け止めながら、時代に合わせた挑戦を続けてください。