小学４年生のとき、祖父の死で命の儚さを感じている中、自分が髄膜炎に罹りました。その後、命の危機から奇跡的に回復し、医療従事者の方々にもう一つの命を授けられたような気がしたのです。その恩返しをするために医師を目指しました。

必死に勉強し、医師免許を取得しましたが、その矢先に再び病に襲われました。白斑という皮膚の色が白くなってしまう病気でした。治療を重ねても治らず、絶望の淵に立たされた私は、念願の医師になれたのにも関わらず白斑の出た顔を見られることが怖くなってしまったのです。しかし何とか踏みとどまることができたのは、サラリーマン家庭でお金を工面して医師にさせてくれた両親の存在でした。

病気になって逆に良かったのは、患者側の気持ちが分かるようになったことでしょう。病気は、病そのものの苦しみだけでなく、心の葛藤も生まれます。それが理解できる自分だからこそできる医療をやろうと決意を新たにしました。

患者様に寄り添った医療を行うため、２０１２年に開業。”大感動医療“というテーマの下、心に響く医療を大切に突き進んでいます。しかし開業初期はいわゆるブラックな職場で、スタッフの退職が続く時期もありました。評判の良いクリニックに見学に行くなど模索する中で気付いたのは、いい組織はスタッフを大切にしていること。スタッフが楽しく働き、仕事に負担を感じないどころか、どんどん伸びているのです。これが私の求めることだと確信しました。”大感動医療“とスタッフを大切にする”大感動経営“を続けることにより、開業７年目には「日本で一番大切にしたい会社大賞」で実行委員会特別賞を受賞。周囲の見る目も変わっていったのです。

全米ナンバーワンといわれる「メイヨー・クリニック」という病院をご存知でしょうか。そこでは質の高い医療と大人が感動するおもてなしがあり、私たちの志と通じるものがあります。医療業界に限らず、大感動の企業が増えれば世の中は必ず幸せになっていくでしょう。

若い方々にアドバイスできることは、今あなたに見えている世界が全てじゃないよ、ということです。大感動医療や大感動経営を日本中、世界中に広めることを目指す私は、２０２３年には国際的な講演会「TED TALKs」に日本人医師として登壇する機会を得ました。またアメリカの経済誌Forbesでは世界的企業として紹介を受け、評議員として２年間の連載投稿も決まっています。私はチャンスがきたら、やるかやらないかではなく、”やる“のみ。チャンスを掴めるかは、あなた次第なのです。そして無理してでも掴むことで、あなたの想像をはるかに超える世界が待っているでしょう。私はそれを体感し、実際に目の当たりにしてきました。皆さんもぜひ、チャンスを掴みにいってください。