印刷業界の中では長い歴史をもつ当社ですが、月日と共に磨かれた技術力はお客様に育てていただいたものだと感じています。創業当時から自動車部品の印刷加工を中心に、さまざまな素材への印刷を行ってきました。お客様の要望に真摯に応えてきた結果、ご提案から検査、納品まで自社一貫で行えることが今では当社の強みです。先代の社長である私の父は自動車産業の変化に常に対応し、非常に強固な会社の基盤を築きあげました。その土台を活かしながら、今度は私が会社を次のステージへ導きたいと考えています。具体的にはSDGsなどグローバルスタンダードのキャッチアップ。自動車産業のみならず、広い視野をもって社会と関わっていきたいです。

ある時期、私は会社経営をする意味について自問自答を繰り返していたことがありました。最終的に辿り着いた答えは、ご縁のある全ての人を幸せにすることと、地域社会発展への貢献。その第一歩として女性活躍を推進しました。その一歩を促したきっかけはコロナ禍。将来への懸念が増幅していた時期、不安で曇った空に雷が落ちたかのような感覚を覚え、「思い切りやってやろう」と奮起したのです。女性活躍を端緒に、今では障がい者雇用、外国人材雇用も進めています。ダイバーシティ経営を通じて、周りの方を理解したいと思うようになり、私自身にも変化が起きたと感じています。また、働きやすさと働きがいを両立できる仕組みづくりにも注力しています。最近はワークライフバランスという言葉が表すように、働きやすさに注目が傾いていると感じます。しかし、働き手が心満たされる状態を目指すには、もう一つの要素として働きがいも大切だと思うのです。そのため、職場の中で一人ひとりが自分にとっての幸せをつかみ取れるような環境を整備しています。それぞれが自分の目標に向かって熱心に取り組むことができれば、仲間たちとお互いの幸せを共有できるのではないかと考えています。
現代の若い方々はグローバルな視点を持ち、SNSの活用で世界とつながることに長けていると感じます。一方で、母国である日本を愛してほしいと私は思うのです。外国にルーツを持つ従業員に対しても同じで、母国を徹底的に大事にしてほしいと伝えています。異なるものがフュージョン、あるいはコラボレーションすることで初めてイノベーションが起きるものだと私は信じています。なので世界を見据える中で、まずは自分自身の生まれ育った地を大切にしてほしいです。そして最後に、自分が世の中や他の人に何を与えられるかを見つめ直してほしい。与えることは、同時に与えられることだと私は感じています。自分だからこそできることを見つけ、人に与えることができれば、それはいつか自分自身に別の形で返ってくるものだとお伝えしたいです。