社員にいつも伝えている、二つのことがあります。一つ目は、仕事の目的を常に意識してほしいということ。How(どうやって)ばかりを議論するのではなく、何のためにこの提案を行うのか、このプロジェクトを進めるのかを考えてほしいと思うからです。
そして二つ目は、一人称で考えようということ。「山口さんが言っていたから」「今までこうやっていたから」と、言われたまま行動するのでは自分の存在意義はどこにあるのか疑問に思えてなりません。様々な意見に耳を傾け、取り入れていくことも必要なことですが、その意見と目的を照らし合わせて「私はこう思う」と、自分の意見を導き出してほしいのです。
私がそうした思いに至ったのには、きっかけがありました。若手社員の頃、お客様に「開発部門の見解はこうです」と伝えていると、「それは開発部門の見解であって、山口さんは開発部門の見解も、今現場で動いているシステムのことも知っていますよね? その上で山口さん自身はどう思いますか?」と聞かれたのです。本当におっしゃる通りだと痛感し、仕事の目的を常に考え、他の人の出した正解ではない、自分の正解を出すことを意識するようになりました。

当社は社会インフラとしてのITシステムの安定稼働、AIやクラウドを用いたDXの提案、環境に優しいプラットフォームの構築、先端テクノロジーの研究開発、そしてこれらを推進するIT/AI人材の育成、という5つの領域に注力することで日本社会に貢献したいと考えています。
また当社は、非常に倫理を大切にしている会社です。テクノロジーの信頼性、透明性、公平性を重視し、活発に議論されているAI倫理に対する立場も早期から明確に示しています。さらにダイバーシティー&インクルージョンの推進も徹底して追求してきました。私がこれまで会社を辞めずに今まで続けてこられたのは、このような企業文化があったからだと思います。
社員自らが考えたことを何でも言えて挑戦できる社風を維持し、「あそこで働いている人って何だか楽しそうだね」と言われるような職場で在り続けたいと思います。一人ひとりが輝いており、仕事には厳しく、人には優しく、そんな会社であり続けたいのです。
現代社会ではAIの発達も伴い、探せば答えはいくらでも出てくる世の中だと感じています。それでも若い皆さんには答えを見つけてくる人ではなく、答えを自分で出せる人になってほしい。仕事をしていると、参考書に載っている正解のように一つの答えが定められているわけではなく、状況に合わせて正解は変わり、常に考える必要があることが分かるでしょう。自分ならではの正解を導き出し、他でもない自分が仕事をする意味を生み続けてください。