私は創業前にトップセールスマンとして活躍した経験やノウハウを活かし、現在は講師として毎年5000人以上の方に講習・セミナーを行っています。昨今は、品格に欠ける商売が多く目につくようになったと感じます。「売上が上がるなら何をしてもいい」と考える人が増えているのかもしれません。これは当社の研修でもお伝えしていることですが、健全な商売とは、商品・サービスに関するメリットをお客様に承知して頂いた上で報酬を得るというWin-Winの関係性が基本です。ここを崩してしまうと、罪悪感がじわじわと伸し掛かってくる上に、成果が欲しいがためにやたらと媚びへつらってしまうなど、健全な自分自身からもどんどん遠のいていきます。これが品格を失うことの恐ろしさなのです。
結局のところ愛があれば、人の仕事には自動的に品格が備わるものです。そして愛ある仕事というのは、お客様にも喜ばれる上に、自分自身も非常に充実感があるものでしょう。だからこそ私の営業研修を受講される皆さんは「営業って楽しい」とおっしゃるのだと思います。
営業電話やメールも、AIやChatGPTに基づいて行うケースが今は当たり前になってきました。しかし効率が高まるほど、どこか作業的になる部分は否めません。どれだけツールが発達したとしても、お客様が人である以上、やはり大切なことは正直な心で接することなのだと思うのです。私自身、営業時代には上司から「格好だけはつけるな。正直でいなさい」と言われ続けてきました。

飛び込み営業が主流だった時代は、自分の言動に対するお客様の反応がリアルタイムで認識できたために、実地で学べることも多くありました。そこでいかにPDCAサイクルを回せるかが成長度合いに直結していたのです。性格や自信は全く関係ありません。私自身、営業に自信があるなどとは考えたこともなく、ただ一人前の社会人になるために歯を食いしばり、日々試行錯誤していただけです。
近年、「タイパ」「コスパ」が重視されていますが、確実な自己成長を遂げたいのなら私はアナログな手法も大切にするべきだと思いますし、ある程度の泥臭さは覚悟すべきだと考えています。現場を数多く踏んでこそ育まれるものがあるということは、時代が変わっても変わらない真理なのですから。
これから就職活動に臨む方もいらっしゃると思いますが、ぜひアグレッシブな就職活動を心がけてください。つまり、自分が企業から品定めされるのではなく、自身の人生を捧げる組織をしっかりと見極めるということです。「この会社での仕事を自分の人生の軸にする」という覚悟が備わっていれば、質問1つにもその気迫が表れ、人事担当者の目にキラリと光る人材として映るはずです。ぜひ自信と愛を持って臨んでほしいですね。