人それぞれに多様な価値観がある中で、就職活動を通じて自分が何者であるかを見いだしていくことは非常に重要なことだと感じています。そして、とことん向き合って見つけた自分が、その会社でどう成長していけるのかが、これから社会人として長い人生を歩み始める皆様にとっての重要な視点になっているのではないでしょうか。
私が就職活動を行っていた頃は、自分が会社の事業や業務に関わることで、周りの物事がどう変化していくのかに興味を持っていたように思います。そして大学卒業後に東急不動産に入社し、最初の配属先となった関西の営業部で経験を積んでいったのです。お客様の立場で物事を考えるということを一番初めに学べたことは、私にとって非常にインパクトのある経験となりました。
その後、東急リバブルに出向することになります。当時は新卒よりも中途採用の社員が多かった時代でしたので、さまざまな価値観の人たちを相手にする大変さは何にも代え難い学びになりました。経営企画課長を担っていた時代にはビジネススクールに5年間通い、そこで学んだことの大原則を弊社の環境に当てはめ、ローカライズしていくことを連続して実践しています。

キャリアを積んでいく中では、多くの失敗も経験しました。しかし、それらの失敗はどれもが種となり、後年の新しい事業や展開に結びついていきます。まさに失敗は財産であり、そうした考えは日頃から社員にも伝えるようにしてきました。弊社には新たなサービスや事業領域に挑戦しようという前向きな仲間が多いですから、決して失敗を恐れてほしくないのです。
2011年頃には三つの業界ナンバーワン戦略というものを打ち立て、お客さま評価と働きがい、そして事業競争力という三つの領域でナンバーワンになり、それを好循環させていこうというミッションを掲げてきました。社員がその目標に納得感を持って向き合えるよう心を砕いた結果、全てがうまくつながっていったと感じています。お客さまの評価が上がれば生産性も上がり、それがやる気になって良い仕事ができるでしょう。この循環が業績やステージを引き上げることとなり、今は業界トップにも手が届くようなポジションになっています。会社が定めた方向に社員が一丸となって力を合わせることができることこそ、弊社の一番の強みなのではないでしょうか。
今後、社会に必要となるのは好奇心であり、感度の高い人物だと私は思っています。その二つから仮説を立てていくことで、行動に移していく実行力も生まれるでしょう。リーダーシップの芽は一人ひとりの中にあります。仕事以外の物事であっても、面白いと思ったさまざまなことに本気で向き合い、自分なりに決着をつけていくことが大切です。その連続が必ずや自己の成長へとつながっていくでしょう。