私は今も毎朝4時に起き、2007年に建設したクラシック専門のコンサートホール・宗次ホールの周辺を掃除することが日課になっています。そこで朝帰りなのか、地下鉄に乗り込む若い人を見ると「将来が不安だな」と思うことがあるのです。
若い人こそ自由を謳歌するものですから、いつの時代も年上からは「今どきの若いものは」と言われてしまうこともあるでしょう。同じようなことを繰り返しているとは思いますが、やはり長い人生、今しかできないことを楽しむ一方で、20代、30代、40代と自分がどういう人生を送りたいのかを真剣に考えていただけたらと考えています。人生設計を作ることは、将来の夢へとつながっていくものですから。
私自身、目標ができてから人生が変わりました。最初の明確な目標は18歳の時のことです。高校卒業間際に普通自動車免許を取得したことをきっかけに、自動車学校の指導員になりたいと思うようになりました。当時は内定先も決まっていましたが、それをお断りして、まずは車に乗って運転技術を習得できる仕事に就こうと不動産屋の営業マンになりました。偶然にも縁がつながった仕事でしたが、それがとても楽しかったことを覚えています。

その後、半年くらいで自動車学校の指導員になるという目標は消え、次は不動産業で独立しようと大和ハウスに転職しました。そこで今の妻と出会ったわけですが、それは自分の人生を再び大きく変える出会いでもありました。社交的な妻の影響で喫茶店をオープンし、新たな道へ進むことになったのです。初めて飲食業を手がけることになりましたが、当時の私は25歳。振り返ってみると、自動車学校の指導員になりたいという目標が事の発端だったように感じます。たとえ小さな目標でも達成しようと努力したからこそ、人生が好転していったのでしょう。
若いときには、嫌な仕事に就いてしまったなと思うこともあるでしょう。しかし、そこで何か魅力を探し、この部分は誰にも負けないというオンリーワンを持てるよう努めてみてはいかがでしょうか。そうすることで仕事も楽しくなるし、評価も高くなるはずです。私も、その時々で一生懸命にやった結果が、考えてもみなかった場所へとつながっていきました。
喫茶店を始めたときも朝から晩まで疲れ果てて大変ではありましたが、だんだんと繁盛するようになり、出前を始めたときに考えたのがカレーライスとチャーハンでした。そこで人気が出たカレーを専門店にしたことが、カレーハウスCoCo壱番屋につながっていったのです。
若い方々も選り好みせず、まずは与えられたことこそチャンスだと思ってやってみていただきたい。それが新たな目標を見つけるきっかけになり、未来の自分につながっていくはずです。