当社では埋蔵文化財の調査から報告書の作成などを行っています。埋蔵文化財と私たちは呼びますが、いわば遺跡の調査です。私の幼少期は自宅周辺に遺跡が多かったため、遺物に囲まれた環境で育ちました。住宅地開発の影響で埋まっていた遺物が表に出て、至る所に落ちていたのです。それらをバケツいっぱいに拾って遊んでいたのが、考古学との最初の接点です。高校に入り、3年生までは遺跡の発掘をしようと考えていたのですが、社会学という学問と出会ったのです。そこで考古学から一旦離れ、大学では社会学を専攻しました。大学卒業後は教師の道を経て、遺跡への想いから公務員の枠組みを活用し、茨城県教育財団で埋蔵文化財の発掘に従事しました。

私は空想することが好きで、「もし過去が違えば今どうなっていたのか」「未来ではできるようになっていること」などを書き留めていました。そして、時間の経過とともに技術が進歩していく中で出会ったのがメタバース。埋蔵文化財を未来に活かす方法を考えているうちに、メタバースの活用をふと思いつき、頭の中で点と点が線でつながる感覚がありました。例えば、まずは世界遺産のピラミッドをメタバースの世界に反映させて、商業活動を通して経済を回す。集まったお金は現実のエジプトに還元することで、現地経済に貢献もできます。次に、現地の経済が潤えば、世界遺産のような埋蔵文化財の保護や維持管理に予算を回せることになります。つまり、メタバース内で利益を生むことは、現地の経済と埋蔵文化財保護のどちらの点でもメリットがあるのです。このような形での遺跡保存活動に賛同してくれる方々が集い、当社としても今後いつか実現させたいと考えています。
私は常に前を向いて生きることを意識しています。前さえ向いていればアンテナを張ることができますし、チャンスが来た時に認識できるでしょう。しかし、チャンスはふりかかるのを待つだけではなく、つかむことが最も重要です。自分一人でうまくいかない時は、仲間と共につかみに行く。目標に向かうためにはこういった姿勢が大事だと思います。
若い世代の方にはまず、仕事をする上でぜひ自分の居場所を作ってほしい。人のために仕事をしている間は自分のことを忘れるものです。こうして一生懸命取り組んでいると、周りの人が自分という枠を作ってくれるのです。そこにコミットすることで苦労が軽減されるでしょう。次に自分にとってやるべきことを常に意識してほしい。今は情報にあふれる時代なので、流されてしまうこともあるでしょう。だからこそ自分をつなぎ止める杭を持っていることが大事で、なにより軸を持っている人は強い。やるべきことが分かれば、現状と理想をつなげ、道筋を見つけることができます。なので、皆さんには常に「べき」を意識するようにしてほしいです。