何事にも体当たり、というのが私の生き方です。学業は途中でドロップアウトし、京都でビジネスに揉まれ、沖縄の離島でバイト三昧、そしてタイでバックパッカー……。心の赴くままにやりたい事に突撃していきました。それは自分の心を偽ってまでやってはいけないこ
となど、この世の中にはないという信念からです。
私は26歳のとき、家業である保育園経営を引き継ぐことになりました。保育業界とは福祉ですから、さまざまな決まりやルール、定説というのが数多くある世界。経営を引き継いだ後に真っ先に取り組んだのは、そんな決めつけや縛りつけから先生や職員たちを解き放つことでした。なぜなら萎縮した大人では、子どもたちに夢を与えることはできないと思うからです。
解き放つためのキーワードは「遊ぶために働け」。保育とは子どもと遊んでいるだけだと思われがちですが、その仕事量は膨大です。だからこそ仕事の要不要を整理し、自分の時間を持てるシフトを組み、限られた時間の中で精一杯自分たちの遊びに費やしてもらいたいと考えてきました。

保育園の先生だって聖人君子ではないですし、仕事の原動力は子どもたちの喜ぶ顔であっても、それが持続する人ばかりではありません。だからといって子どもに冷たく当たるのではなく、それぞれの自分時間を充足させながら、それを支えにモチベーションを保っていってほしい。それが健全な働き方なのだと考えています。
また保育士の業界は慢性的な人手不足の課題を抱えてきました。そこで私の園では、待遇改善を進めるのと同時に、新しい方法で人材を集めることにしています。それがバレーボールチーム「Viore NAGOYA」の設立でした。学生時代にスポーツに打ち込んでいても、社会に出た途端、そのキャリアを終えてしまう方も多いでしょう。そこで諦めてしまうのではなく、好きなことを働きながら続けられる、そうした環境を作ることが目的です。初年度から面接希望は30名を超え、2年目の今年も新卒の方々がたくさん入ってきてくれました。
好きなことを続けている人は常に夢をアップデートしています。だからこそ子どもたちに過去ではなく、現在進行形の夢を語ることができます。そんな大人たちを見て、子どもは夢を抱くのです。
私自身の夢は年収1000万円の保育士を育てること。福祉業界は税金で成り立っていますから、ハードルは高いです。しかし選択肢はいくつもあります。スポーツとの二刀流、保育の知識を活かしたプロデュース業、農業とのコラボレーション、そこに到達するまで夢を見続けて実現させていく、その連続だと思っています。今後も遊ぶために働き、保育業界の定説を覆していきたいですね。