高校卒業後はフリーターをしていましたが、20歳で家庭を持ったことをきっかけにコンクリート解体業を営む会社へ入社しました。その後、配管業へと転職し、25歳までスキルを磨いてきました。職人の仕事が自分に合っているとは思いませんでしたが、現場管理を任されるようになってからは軌道に乗り始めました。得意なコミュニケーションを活かし、親方達が自発的に動いてもらうためにはどうすべきか、そうした意識を持ちながら自分から積極的に声を掛けました。それまでやる気のなかった親方達を奮起させていったのです。それによって仕事の質が改善していき、気づけば私に対する評価も向上、ヘッドハンティングを受けることもありました。
いつしか自信を持った私は、起業について考えるようになりました。もともと一生懸命働いている若い人達が正当に評価されていないという業界への不満がありましたから、自分が代表になれば、そういった部分も是正できると思ったからです。とはいえ起業後は、しばらく厳しい日々が続きました。しかし、お客様からのご依頼に「はい」一択でお応えしてきたことが功を奏したのか、ここ4~5年である程度の地位を確立できたと感じています。無茶なご要望も数多くお受けしましたが、私が思うに、諦めるのではなくできる方法を探すべき。考える暇があるなら手を動かし始めた方がいいと思っています。ただ何よりも、ここまで来られたのは、こんな私に付いてきてくれた社員達がいたからに他なりません。

31歳の頃には1度、廃業を考えたことがありました。どれだけ売上を上げても赤字が消えず、当時は相談相手もいなかったため、精神的に辛い時期が続いていたのです。「休みにしよう」と言ってくれた専務と常務に甘え、私はこの機を利用して多くの友人達と会いました。友人達の紹介でたくさんの経営者とも会いました。このことが転機となり、私は1カ月後に仕事を再開。多くの人の苦労話を聞いたことで、「自分の悩みはなんてちっぽけなんだ!」と感じられたためです。
海外に行った際に気付いたのは、日本の職人業は世界に通用するレベルであること。今後はまず、業界に対する固定観念を払拭していきたいです。その上で、報酬として社員達に還元し、仕事の価値向上のため努めてまいります。
今の若い方達は非常に真面目ながら、いろいろな知識を持っている分、リスクを恐れてしまう方も多いように感じます。しかし自分が「正しい」と感じたことだけは、ぜひ一生懸命に挑戦してみてください。そこで初めて、自分の”正しい“が世に通用しないことや、”知ってる“と”できる“は違うことを身をもって学べるでしょう。挑戦のない人生には何も生まれません。ぜひ果敢な挑戦をし続けてください。