過去を振り返ると、偶然ではありますが、私が入社する前と後で当社の事業は変化しました。以前はプラント事業に注力していた当社ですが、私の入社と重なって太陽光の販売事業を開始したのです。一方で、単価が下がるにつれて太陽光事業から撤退する業者も増加。当社としては、せっかくノウハウを蓄積してきた事業から撤退するのはもったいないと考えていました。その最中にアメリカ発の環境に優しいガス発電機が出現。私たちの環境に対する貢献の想い、そして技術者のスキルが活用できる点で取り組む価値があると判断した結果、現在の主力である発電機販売事業が構築されたのです。
しかし、売り上げにつながるまで数年を費やしたことも事実です。当時の社内では懸念の声もありましたが、市場調査の結果や災害対策の状況を考慮すると、必ず売れる市場があると私は確信していました。信念を基に取り組み続けたからこそ、今の当社があると考えています。事業開始初期はノウハウもないので、ひたすら自分で調べ、考え、解決する必要がありました。そのような経験もあり、時間がかかっても取り組み続けることは、今でも変わらない当社の方針です。

商売は「何を売るか」だけでなく、「誰に売るか」を考えることが非常に重要です。ターゲットを定めようとすると、自ずとお客さまの課題に焦点を当てる必要性が出てきます。そしてお客さまのことを考え続けてきた結果、環境改善に手が及び、現在の事業に至ったという経緯があります。私は人と会う際には「この人は何をすれば喜ぶのだろう」「どういう人なのだろう」と、常に思考しています。全く知らない人と話をするのは不安なことなので、早く相手を理解し、「知っている人」にしたいのです。そのような思考は仕事にも活かされ、お客さまとのお付き合いが始まることもあります。
若い世代の皆さんには、私が最近痛感していることをお伝えします。学生時代の勉強とは自分の裁量でできること。一方、会社で働くと、取り組む仕事のボリュームを自分で調整することは難しいのが現実。つまり、上長やお客さまから与えられる仕事は、自分のキャパシティを超える場合もあるということです。しかし、学生と社会人のその違いを認識した上で取り組めば、最初の大きなつまずきは解消できるはずです。
また、私たちは基本的に生活のために仕事で稼ぐ必要がありますが、それだけでは無味乾燥な日々になってしまいます。そのため、仕事自体を自分の成長につながる活動と考えられればいいのではないかと思います。学校だけではなく会社で学ぶことも当然可能なので、働く中で自ら課題を見つけ、成長を目指すことが充実した社会人生活につながるはずです。