人々が弁護士を目指すきっかけはさまざまだと思いますが、私の場合は高校生の頃にさかのぼります。自分は自由業に向いていると漠然と思っていたさなかに、法廷サスペンスドラマの再放送を見かけたのです。率直に「かっこいい」と思い、弁護士に憧れを抱くようになりました。
そして、大学2年生の時に確固として弁護士を目指すきっかけとなる出来事が起こりました。ある日、ローンを組んで購入した中古車を運転中、乗用車と物損事故を起こしてしまったのです。任意保険にも加入しておらず、相手方の保険会社から修理費用を全額請求され困り果てていました。しかし幸いなことに、地域が主催している弁護士相談会に参加できる機会に恵まれました。たちまち解決の見通しが立ち、困っている人の力になれる弁護士の素晴らしさを実感しました。
そして漠然と憧れていた高校時代とは打って変わり、「絶対にならなくては」と思うようになったのです。

晴れて弁護士になった後は、司法修習を経て大手法律事務所で経験を積んでまいりました。一方で弁護士をより身近にしたいという想いもあったため、2005年に独立し、当社を設立しました。そして、弁護士検索、一括見積もり、インターネット法律相談の3つのサービス提供を始めたのです。しかし、当時は「一見さんお断り」という風潮が弁護士業界にあり、加えてインターネットに実名を載せることに抵抗を覚える人が多い時代でもありました。そのため、いかに弁護士の方に登録してもらうかという点が課題だったのです。そこで、私は弁護士の方の登録料を無料にし、一人でも多く登録していただけるように奮起しました。徐々に登録数は増え、今では多くの方に活用していただいているので嬉しい限りです。
また、相談者の方々から感謝の声を頂くこともあり、その熱量に大変励まされました。大きな反響を目の前にし、当社のサービスは社会から必要とされていると自信につながったのです。
当社は2014年に上場を果たし、今では税理士版の「税理士ドットコム」や電子契約サービス「クラウドサイン」などを展開しています。
テクノロジーの発展が目覚ましい昨今。当社としても今後DXを加速し、積極的にテクノロジーをサービスに取り入れていきたいと考えています。そうすることで、法律トラブルでお困りのユーザーのサポートが強化できるほか、弁護士による法律相談の効率化も見込めるからです。私はリーガルテックの領域から新たな価値を生み出していきたい。事業を通じ、労働人口不足が進む日本の社会課題に貢献していきたいと思っています。そして、活力で満ちあふれる日本の未来を描けるよう、今後も邁進してまいります。