土木工事を主力とする当社は、同業他社とは大きく異なる強みがあります。それは自社でI C Tシステム(情報通信技術)の開発も手がけていることです。2021年には、建設機械に取り付けて使用するICTシステム「WAKTECH(ワクテック)」をリリースしました。
WAKTECHは「ワクワクできる建設現場をつくる」をテーマに、ワクワク(WAKUWAKU)とテクノロジー(TECHNOLOGY)をかけ合わせた造語です。油圧ショベルなどの運転席に専用タブレット端末を設置。GNSS(衛星測位システム)や3D設計データを活用することで、重機の位置や掘削・整地のラインをリアルタイムで表示します。どこをどのくらい掘ったらいいかなどが、画面上にわかりやすく表示されるため、経験の浅いオペレーターでも高精度な施工ができます。土木工事をより簡単に、よりスピーディーにするためのシステムです。
将来的には、WAKTECHをクラウドやAI、自動運転建機と連携させることで、世界中どこにいても建設機械での土木作業が可能になると考えています。現在当社は、通常の土木工事やICTシステム開発に加えて、能登半島地震の復旧工事にも取り組んでいます。最北端の珠洲市で作業する場合は、石川県のほぼ中央にある金沢市から、車で2・5〜3時間かけて移動しています。
もしWAKTECHによって建設機械のリモート操作が実現すれば、現場への移動は不要になります。オペレーターは安全で快適な場所から効率良く作業できるようになり、結果的に被災地の迅速な復興につながっていくでしょう。
さらにWAKTECHの技術は、宇宙への移住にも応用できると期待しています。宇宙に建設機械を持ち込み、自動で地面を掘り、畑を耕し、家を建てる…。そんな未来を想像すると、胸が高鳴ります。自分が思い描いた構想がぴたりとハマる瞬間こそ、私が最もワクワクするときです。
この話をすると、信じない人もいます。しかし私は気にしません。外野の声に惑わされず、自分の想いを発信し続ければ、共感してくれる人に必ず出会えるからです。私自身、中卒の土木作業員から社会人としての道を歩み、数多くの方々の支援のおかげで、ここまで会社を成長させることができました。
一人でできることは限られています。たとえ手探り状態でも、勇気を出して周囲に自分のワクワクを伝える。その積み重ねの先には、力になってくれる仲間がいるはずです。
ワークライフバランスが重視される昨今ですが、いつの時代も、何かを成し遂げる人は、仕事と遊びの垣根をつくらず、ワクワクしながら、のめり込んでいる人なのではないでしょうか。若い皆さんにはぜひ、没頭できるテーマと信頼できる仲間を見つけてほしいと思います。





