やりたいことがわからないという若い方、多いですよね。それも決して悪いことではありません。しかし私としては、若いうちから何か目標を見つけ、実現に向けて行動してほしいと考えています。それほど難しいことではないのです。学業やアルバイト、友人付き合いなど、平凡かもしれない日々の中で、一生懸命に過ごしていれば、自然とやりたいことがわかってくるものなのです。
私が明確に目標を持つことができたのは、18歳のとき。同時期に自動車学校に入学した友人よりも自動車免許の取得に手こずったことで、逆に情熱が芽生え、自動車学校の教員を志しました。そのときすでに就職先が決まっていたのですが、思い切って内定を辞退。ひとまず「車に乗って運転技術を習得できる仕事」に就くことに。新聞に掲載されていた不動産営業の求人広告を見て、面接を受けたところ、無事に合格することができました。
この経験がなければ、今とはまったく異なる人生を歩んでいたかもしれません。そう思えるくらい、目標に向かって行動するという経験は、私に大きなインパクトを残しました。その後の私は「不動産業で独立」→「副業で妻と喫茶店を開業」→「喫茶店経営の楽しさに魅了され、飲食業一本で勝負」と、その都度目標を変えてきました。喫茶店を始めた頃は激務が続きましたが、一度自分で決めたことでしたから、とにかくがむしゃらにやり抜きました。そして30歳でカレーハウスCoCo壱番屋を創業。”ココイチ“の愛称で親しまれ、国内外に1,000店舗以上を展開するカレーチェーンへと成長させました。
自動車学校の指導員になるという目標は、不動産会社に入ってしばらくすると消えていました。目標が途中で変わることは、ダメでも何でもありません。前を向いて生きていれば、むしろ自然なことではないでしょうか。自分の気持ちに素直に、柔軟に目標を変えてきたからこそ、今の自分があると思っています。一つの目標に向かってブレずに進む以上に、まずは何かしらの目標を持って行動することがとても重要なのです。
そんな私の今の目標は、私が設立したクラシック専門のコンサートホール「宗次ホール」を年間の演奏会開催回数で日本一にすること。目標を達成するには、演奏会の回数だけでなくおもてなしも成功の鍵となります。そこで私はコンサートが開催される日は、開場15分前に入口に立ち、お客様をお出迎えしています。ご来場いただく、お客様の笑顔を見るたび、こちらも元気をいただけますから。この時間が楽しみの一つになっています。
人生を振り返ってみると、後悔の念が一切湧いてこないのです。この歳になっても毎年の誕生日がうれしいくらい。そんな人生を若い方にも送ってほしいですね。





