私が獣医を目指すきっかけとなったのは、小学一年生の時。野良猫を拾ったことから始まりました。6歳だった当時、一番好きで見ていた映画の題材は、少年と恐竜との出会い。その作品に影響されて、私もそんな出会いがほしいと思っていたのです。念願叶って猫との生活が始まり、いつの間にか動物が好きということが自分のアイデンティティとなっていました。獣医を目指すのは自然なことでした。
当院では犬、猫の夜間診療を主軸に行っており、飼い主さまの不安を安心に変えることを大事にしています。加えて、スタッフが多いことも強みで、高い対応力が待ち時間の短縮につながっています。私が意識しているのは地域医療として、昼間に開院している動物病院と互いに支えあうこと。夜間病院はまだ少ないですが、包括的な地域の獣医療を支える重要な役割を担っていると感じています。
獣医療全体を客観的に見つめる視点を持ち、ペットや飼い主さまを支えていく。それこそが、私の目指す獣医療のあり方です。
また、私が最も注力していることの一つに、働きやすさの向上があります。具体的には有給休暇を含めた休みをしっかり確保しながら、現場が十分に回るよう整備することです。現場に余裕をもった人員を常に割くことで、スタッフの急な体調不良や休暇にも対応可能。仕事と私生活のどちらも大切にしてほしいため、過度に無理をさせないことを重要視しています。何より、せっかく共に働いてくれているからこそ、スタッフたちを大事にしたい。そして、一人ひとりが健康的に働くことで、質の高い獣医療の提供にもつながります。
当院のような夜間動物病院は少なく、より多くの地域医療に貢献するべく、今後も取り組みの輪を広げていきたいと考えています。動物病院とは昼間と夜間で切り分けられるものでなく、一本の線でつながっているもの。飼い主さまの安心、獣医療の水準向上、地域医療のため、今後も当院としてできることは尽くしていきたいです。また、この領域に足を踏み入れる次世代に手を差し伸べられる存在になるべく、雇用創出にも注力していきたいです。
最後に、若い皆さんには挑戦と失敗の重要性をお伝えしたいです。特に20代になると、高校生や10代の頃の自分と比べて、歳を取ったと感じることもあるでしょう。しかし、皆さんにはまだ大きな可能性が残っています。これは揺るぎない真実です。
何かに興味を抱いたら、1日でいいので現場を体験してください。この世界には必ずあなたの天職があります。それを見つけるには自ら体験するしかないのです。たとえその体験が微妙な結果でも、必ず後の人生で役に立ちます。様々な経験は大人になればなるほど強い武器となります。とても勇気のいることですが、そのような人を社会は歓迎するのだと思います。





